氷雪のバイカル: ロシア革命を見た少年
によって 佐賀純一
3.9 5つ星のうち(4人の読者)
無料ダウンロード氷雪のバイカル: ロシア革命を見た少年 pdf - 少年の父・武がハルピンの領事館付き医官として日本を旅立ったのは大正2年6月のことだった。しかしその一年後に第一次世界大戦が始まり、大正6年にはロシア革命が起こった。武はその頃すでに領事館を辞し、イルクーツクで医院を開業していたが、各地で銃撃戦が発生し、シベリアは大混乱となった。革命のため薬剤が底を突いたので、武は一時帰国して薬品を調達し、妻子を残して再び革命下のロシアへ戻ろうとした。しかし妻の菊江は夫の強い反対を押し切り、8才の息子・進と5才の娘・幸子を伴って、夫とともに大陸に渡った。大正7年5月の事である。それまで日本の片田舎で暮らしていた少年・進は、果てしなく続く大陸鉄道の窓から想像を絶する世界を見た。父を待っていた謎の女スパイ、ハルピンで出会ったロシア人の美少女。ハルピン駅前を行進する日本の軍隊、それに向かって熱狂的に日章旗を振る日本人会の人々。軍用列車の先頭には銃眼列車が連結され、鉄橋はパルチザンに破壊されていた。イルクーツクの人々は少年の一家を優しく迎えてくれたが、凍った窓の外には硝煙の臭いが漂っていた・・・。著者は日本陸軍参謀本部が編集した「西伯利(シベリア)出兵史」と父・進の少年時代の記憶を照合し、話の内容が史実とまったく異ならないことを知ると、一年をかけて聞き取りを行い、一冊の書物にまとめた。8歳の少年の目を通して見たロシア革命下のめくるめく世界が、100年の時を超えて今蘇る。
氷雪のバイカル: ロシア革命を見た少年の詳細
以下は 氷雪のバイカル: ロシア革命を見た少年 の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
8歳だったときにシベリアで体験した出来事を、70年経ってから思い出して息子に話して聞かせ、それを息子が一冊の本にまとめ上げたのが、この本である。この本に書かれている記述はあまりにも詳細なので、普通はそれが70年前の記憶によるものとは信じられないだろう。だが、真実なのだ。息子の佐賀純一が、日本陸軍参謀本部が編纂した「シベリア出兵記」を入手して父親の話と照合したところ、父の話す爆破された橋の様子が、軍の資料にあるオノン河にかかる橋の記述とぴったり一致したそうである。どういうわけか、この佐賀進という当時8歳だった少年は、記憶を映像として蓄えていて、それをずっと後になってからもそのまま映像として呼び出すことができる希有な能力の持ち主だったらしい。そして、それを一年間かけて根掘り葉掘り聞き出す努力をして一冊の本にした息子の佐賀純一も、また希有な能力の持ち主と言えよう。著者の祖父・佐賀武がいかにエキセントリックな人物であったかは、本を読めばわかると思うが、武・進・純一と三代続く医者の家系は、三者三様に、みな異能の人物を輩出したと言えよう。100年前に起こったロシア革命と、それに続くシベリア出兵は、今となっては遠い過去の歴史であるが、その当時、そこで暮らしていた普通の人々が、日々変化する革命の状況にどう向き合い、どのように対処したか、それを知ることは、現在に生きる我々が未来にどう向き合っていくかを考える上で参考になると思われる。歴史をよく知らない我々は、ロシア革命が起こった後、すぐにソビエト連邦が成立して共産主義が確立されたと思いがちだが、この本を読むと、決してそうではないことがよくわかる。当時、ボルシェビキが日本では「過激派」と呼ばれ、単なる反乱軍のように思われていたということは、今のいわゆる「イスラム国」のアナロジーのようで、興味深い。普通のロシア人や支那人が、とても親切だったということが、この本では何度も出てくる。政治的バイアスのない少年の目で見たロシア革命下のシベリアの日常、という変わった切り口の実話である。20年前に出版され、長く絶版になっていたが、このように電子書籍化され、手軽にまた読めるようになったのは、ありがたい。
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