北海道の森林鉄道 (22世紀アート)
によって 松野郷 俊弘
4.9 5つ星のうち(2人の読者)
北海道の森林鉄道 (22世紀アート)ダウンロード - 歴史の線路を辿り、今ここに、よみがえる――森林から生産される木材を搬出するために敷設された鉄道「森林鉄道」。大型トラックの登場で過去の産物となってしまった計32の北海道の森林鉄道を完全網羅。幼い頃から森林鉄道に魅了されてきた著者が、資料価値の高い調査結果とノスタルジックな写真で当時の風景をよみがえらせる。鉄道ファンはもちろんのこと、郷土史に関心のある方にもお勧めの一冊。
北海道の森林鉄道 (22世紀アート)の詳細
本のタイトル
北海道の森林鉄道 (22世紀アート)
作者
松野郷 俊弘
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かつて、北海道内には官民含めて、膨大な数の森林鉄道が敷設された。その最盛期であった1940~50年代には、総延長にして800kmを越える距離の森林鉄道があったと考えられている。森林鉄道は、山林からの資源搬出のみならず、地域によっては、他の資材の搬送や、住民の移動にも供されたインフラであった。しかし、道路整備が進むにつれて、森林鉄道は減少し、1968年、定山渓森林鉄道の廃止をもって、北海道から森林鉄道は姿を消すこととなる。鉄道の敷設は大規模な土木事業であるが、森林鉄道自体が鉄道法の管理対象外であることもあって、これらの鉄道の詳細な記録というのはほとんどない。ことに北海道の森林鉄道に関しては、今なお「あったと考えられている」レベルの幻の存在ももろもろにある。そのため信頼の高いデータをまとめることは困難だ。本書の記述も、特に新しい知見を含んでいるわけではない。ただ、代表的な官営の森林鉄道について、その由来、設置年、建設時の背景、周囲の状況等、いわゆる「沿革」を、述べてくれている。その内容は、おおよそ当該市町村史や営林署史等の記述内容をまとめたものであるが、これらの原典となるべき書物は、(私の経験では)中古で入手しようとしても、相応の値であったり、また入手しても書籍自体の「サイズ」の大きさから、保管に難渋したりすることが多い。そういった点で、それらの労苦を避けて、各森林鉄道の沿革を読めると言う点で、本書は有用である。以下、本書で取り上げられている森林鉄道を記載する。定山渓森林鉄道/恵庭森林鉄道/幾春別森林鉄道/大夕張森林鉄道/芦別森林鉄道/中名寄森林鉄道/奥名寄森林鉄道/珊瑠森林鉄道/奥士別森林鉄道/仁宇布森林鉄道/層雲峡森林鉄道/達布森林鉄道/羽幌森林鉄道/古丹別森林鉄道/三毛別森林鉄道/金山森林鉄道/落合幾寅森林鉄道/トマム森林鉄道/温根湯森林鉄道/置戸森林鉄道/渚滑森林鉄道/武利森林鉄道/生田原森林鉄道/津別森林鉄道/上札鶴森林鉄道/上川十勝森林鉄道/音更森林鉄道/足寄森林鉄道/斗満森林鉄道/陸別森林鉄道/東大演習林の森林鉄道(西達布森林鉄道・麓郷森林鉄道)森林鉄道の表記には、複数の方法がある。三毛別と古丹別は併せて「古丹別」とされる場合が多いが本書は分割している。また本書で「大夕張森林鉄道」とあるのは、「主夕張」「下夕張」「遠幌加別」の3つの森林鉄道を集約したものとなっている。また、前述の通り、王子製紙や富士製紙、三井グループなどが敷設したような民間の森林鉄道は対象に含まれていない。また、官営のものであっても、宇津内森林軌道、上ノ国森林軌道、上尾幌森林鉄道。常呂森林鉄道等、記載されていないものがある。そのような意味で、すべてが取り上げられているわけではなく、あくまで「沿革」として記載できる内容が、比較的入手しやすいものについて、まとめた体裁といって良いだろう。そういった意味で、本書は、これらの森林鉄道の「まとめサイト」的な活用ができるものと言えるだろう。市町村史等で紹介されている写真や、ごく簡単な路線図が紹介されているものもある。ただ、このうち路線図については、個人的には、もう少し精度の高いものをまとめてほしかった感が強く、記載の多くは、概略図であり、それもかなり大雑把な書き味のものとなっている。また、個人的に、「支線」を含む「路線網」に関してなにか新しい情報がないかという興味はあったが、その点でも、とくに新しい発見と言える内容はなかった。むしろ支線に関する情報は、他の文献やウェブサイトを参照した方が有益な場合が多いだろう。個人的に興味深かったのは、芦別森林鉄道における芦別町勢要覧(1951)から転載された「芦別森林鉄道路線図」であり、歴代の地形図でも線形の記載のない咲別線、幌子線、惣顔真布線の線形が記載されているほか、この地図が正しければ、私の知る限り、これまで報告のない惣芦別川に沿った支線が存在している記述になっており、このページはじっくり拝見させていただいた。それと、最後に筆者が金山で過ごした少年時代の森林鉄道の思い出が興味深い。そこでは、筆者が、少年時代、徐行運転する列車の最後尾の運材車に友人たちと飛び乗って遊んだエピソードが紹介されていた。責任論や安全論がやたらと取り沙汰される現代とは、まったく異なる当時の思い出話が、私にはこのうえなく暖かく貴重なものに思われる。
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